スポーツエージェント会社に勤めるジェリー（トム・クルーズ）は、70人ものクライアントを抱えるやり手。そんなジェリーが選手やファンのことなど無視して、ただ金のためにだけに契約を実行する自分自身に嫌悪を感じ、一人の人間としてクライアントのため、ファンのために働くことを目ざすのだが・・・。
ジェリーが職場で配った提案書は大喝さいを浴びたものの、あっさりクビ！ついてきたのは会計係のドロシー（レニー・ゼルウィンガー）だけで、クライアントもフットボールのロッド（キューバ・グッデンJr）だけとなり苦難の道を歩むのか？！と思わせたものの、そこは「どうだ！オレ様何やってもカッコいいだろう」のトムものですからねー、内容の甘さは推して知るべし！シングルマザー、ドロシーとの恋、ロッドとの友情は予想を裏切ることなく展開されて万万歳！だからって責める気にならなかったのは、ゼルウィンガー＆グッデンJrが良い味出してたから。
キャメロン・クロウ監督作品。
紀元前一世紀ローマ帝国。奴隷として生まれスパルタカス（カーク・ダグラス）は、貴族たちの「お遊び」である奴隷同士の決闘を拒否！反乱をおこし、城の乗っ取りに成功！反乱軍として勢力を増したスパルタカスは、自由を求め自分たちの国を目ざすのだが・・・。
奴隷解放のために命をかけたスパルタカスの悲劇を描いた大スペクタクル。時に人間無視の作品を撮ることもあるキューブリックですが、ハリウッド王道的ダイナミズムの中、人間スパルタカスに解りやすく迫ってます。スパルタカス（ダグラス）とヴァリニア（ジーン・シモンズ）とのカッチカチなラブシーンはパス！ですが、政界内での権力を巡る狡猾な駆け引きを描いて十分見せるものあり！
脚本にドルトン・トランボ。
真面目でごく普通の家庭を築くサラリーマン、杉山（役所公司）は、通勤電車の窓から見えたダンス教室の美しい女性、岸川舞（草刈民代）への憧れから、「社交ダンス」教室の扉を開けることに。ダンスを習い始めたことをきっかけに、普通すぎる生活の中に潜んでいた心の虚しさを埋めていくというハートフル・コメディ。
今さらの大ヒット作品ですが、この作品の「キモ」はダンス仲間、青木役の竹中直人の取捨にありましょう。ともかくクドいですから。そこらをベタなコメディとして流せれば楽しめるかも？竹中には好意的なワタシですが、ここでは、やり過ぎに映ってダメでしたね。お話はこれといった深みも無しですが、コメディなんだからそれで良いんでしょう。
探偵事務所のポスターが「フォローミー」とはあざとい！
夏の間、釣りなどを目的にバカンスを楽しむ観光客で賑わうシール島。オフシーズンとなり閑散としてきた頃、そんな観光客が捨てていったペットの犬たちが野生化し、群れをなして人間を襲い始めるのだった。
ともかく歯むき出しで襲い来るイヌどもが怖い！無線も壊れ、小舟で助けを求めに行く老漁師コップ（R・G・アームストロング）も力尽きる中、海洋生物研究所の研究員ジェリー（ジョー・ドン・ベイカー）たち島民と、狂犬との壮絶な戦いをハラハラドキドキものに描いて単なるB級動物パニックものを超えるものあり！
監督は「燃えよドラゴン」のロバート・クローズ。
アウトローに支配された町ワーロックの住民たちは、「自らが法だ」と説く早撃ちガンマン、クレイ（ヘンリー・フォンダ）をマーシャルとして雇うことに。クレイとその相棒で悪い噂が絶えないギャンブラーのモーガン（アンソニー・クイン）は、強引なやり方で悪党共の締め出しにかかるのだが・・・。
クレイのためには汚れた仕事もいとわなかったモーガンが、クレイへの思いを捨てきれずクレイと対決する道を選んでしまうというラストには強烈なホモセクシャルの香りが！そこらにこだわらなくても、クレイの法律無視のやり方を良しとしないカウボーイ、ギャノン（リチャード・ウィドマーク）とクレイの対決！彼等に絡んでくるジェシー、リリー（ドロシー・マローン）という美女達も華をそえる以上に人間味を見せているし、悪党の中にギャノンに手を貸す者が出てきたりするあたりには痛快さもあり！という見せ場たっぷりの作品。安っぽいヒューマニズムやありきたりな民主主義賛歌を超えるテーマが感じとれたのは流石のエドワード・ドミトリク監督。
それぞれの理由で寄り集まった三人のアウトロー、沖田（高倉健）、大城（織田あきら）、古河（山本圭）が、新幹線に爆弾（時速80キロ以下になると爆発する特殊装置付）を仕掛け、大金強奪を企むというサスペンス。
健さん主演なので金がかかっていることもありますが、なにより三人のアウトローの生きざま、死にざまをハードボイルドタッチで描いて上々のデキ！凝った脚本の中、乗客の命を優先する鉄道管理側と犯人逮捕にあせる警察庁側のあつれき、混乱する乗客たち等、この手のパニックものには欠かせない要素もたっぷり！
沖田の妻に宇都宮雅代、チョイ役ながらも電話交換嬢に志穂美悦子、航空会社係員に多岐川由美、乗客の一人に十勝花子と美女ズラリ！
閉所恐怖症が原因でバンパイヤ役を下ろされたジェイク（クレイグ・ワッソン）は、知り合ったばかりの俳優仲間サムの留守中、高台にある豪邸に住んでいいと言われて大喜び！そこに設置されていた望遠鏡で、エロティックな姿態で踊る美女を覗き見ているうちに、その美女がインディアンの大男に殺害されるところを見てしまうのだった。
言うまでもなく「裏窓」へのオマージュであり、随所にヒッチコッキィヤン、デ・パルマの偏執世界が展開されるスリラーです。犯人と言うか、筋書きはバレバレでも見せてしまうのは、流石！舐めまわすようなカメラワークといい、ケレンたっぷりなビノ・ドナッジオのスコアといい、デ・パルマの性質（たち）の悪さがたっぷり味わえる作品でしょう。ポルノ女優役でメラニー・グリフィス、B級映画監督役で我等のデニス・フランツ。
1975年、世間に理解されないまま解散を迫られ、最後のレコーディングとなった早すぎたパンクバンド「逆鱗」が残した「フィッシュストーリー」という曲が、1982年、2009年、2012年という未来へとリンクされていく痛快青春もの。
彼等の熱き失敗を無音部分にして発表させたプロデューサー（大森南朋）の息子（レコード店の店長＝大森二役）が、この曲をかけるというシーンから始まり、時空を超えて正しいことを成そうとする若者たちの姿を、明るく、可笑しく、時にはちょっと真面目に描いて退屈すること無し！ 伊坂幸太郎原作、音楽担当は斎藤和義。