長い歴史を持つスーパーなスターなので真面目にやるならライフワークを覚悟しなければと思うが、ここは好きな作品を簡単にってことで勘弁して下さい。
ハードボイルドの古典「死の接吻」での神経症的なワルっぷりは強烈！ 薄笑いを浮べながら車椅子のおばはんを階段から突き落とすんだから、半端じゃない。 デビュー作となるらしいこの一作で、ハリウッド悪党伝説に残るスターとなりました。
悪役じゃないけど、モノクロ時代の好きな作品をもう一本紹介。 エリア・カザン作品となるサスペンス「暗黒の恐怖」でのウィドマークは、生活感のある「良き公務員役」を演じて違う一面も見せてくれてます。 ここでのワル役はジャック・パランス。
色つきになってからでは、ドン・シーゲル監督の「刑事マディガン」が外せないのだが、裏シネマ界では誰もが支持する大傑作でもあり、当たり前すぎるのでここはヒネってＴＶ版「刑事マディガン／マンハッタン事件」を紹介。
街のチンピラ役でトニー・ロー・ビアンコ、マデイガンと組む新米刑事役でロニー・コックス。 暴力を嫌うコックスが、皮肉なことにトニー・ローを撃ってしまうラストが印象的だった。
映画版ほど丁寧に描かれてはいないにしても、心根までは腐っていないダーティ刑事マディガン像は、実に魅力的なキャラクターで、演じるウィドマークも、まるでマディガンそのもののようなハマリ役だ。
なお、リタイアして田舎に移り住んだ刑事が事件にぶちあたる、というマディガンの続編的作品「刑事ブロック」もあり。 こちらもＴＶ映画だが、なかなか楽しめるデキだ。 ただし、ウィドマークじゃなかったら、どうだったろう？ 多分、無視していたと思う。
その他、西部劇では「ワーロック」、「ゴーストタウンの決闘」、「アラモ」、「シャイアン」、アクションものでは「ドミノ・ターゲット」、「合衆国最後の日」、「ジェット・ローラー・コースター」、超豪華サスペンス「オリエント急行殺人事件」等々見ているが、この中では、ジョージ・シーガル主演の「ジェット・ローラー・コースター」が好きだ。 ウィドマークはＦＢＩのお偉いさん役だった。
最後にどうしてもはずせない「黄金の賞品」を紹介。
孤児とその世話をするマリアのために犯罪を犯してしまう兵隊役を演じるウィドマークが素晴らしく、その心優しさには泣かされた。 ウィドマークは本当に奥の深いスターなのだ。