「ローズランド」、「ディア・ハンター」、「戦争の犬たち」、「天国の門」、「デッドゾーン」と続く黄金時代のウォーケンを知る人にとっては、複雑な気分にさせられる「化け物」に入り込まれた今日この頃の彼ではあるが、それでも変わり果てた姿を楽しんでいるファンがいることも確かである。 いっそのこと、「スリーピーホロウ」のギザギザ歯の死霊役ぐらい、バカバカしくやってくれればせいせいするけどね？
個人的には、「ロンリー・ブラッド」、「トゥルー・ロマンス」、「ニック・オブ・タイム」、「ラストマン・スタンディング」、「デンバーに死すとき」などの、アクションもので見せる押し出しの強さより、「007／美しき獲物たち」、「ブルースが聞こえる」、「ホームボーイ」、「ミラグロ 奇跡の地」などの、いくらかでも控えめな感じの方が好きだ。
初期の「盗聴作戦」のかるーいハンサムぶりは、やはりスターを約束されていたかのように輝いているし、「アニーホール」でみせた陰りも印象的だが、劇場で見終わった後しばらく腰をあげる気にならなかった「ディア・ハンター」がベスト。 あとは「デッドゾーン」の、未来予知能力を持つ悲しき青年教師役も。
「タイムトラベラー きのうから来た恋人」はひとえに脚本のアイデアに支えられたコメディだが、おおげさな演技をしないウォーケンの科学者ぶりと、奥方に扮したシシー・スペイセックのトボケ具合が楽しめる、拾い物の一編。
その他、見ているものだけ簡単に。「センチネル」、「ブレインストーム」、「ウォーゾーン／虐殺報道」、「コミュニオン／遭遇」、「迷宮のヴェニス」、「マクベイン」、「ミドナイトチェイサー」、「カリブ／愛欲の罠」、「フューネラル」、「ワイルドサイド」、「ゴッドアーミー／悪の天使」、「エクセス・バゲッジ／シュガーな気持ち」、「デッドレイン」、「マイ・ボディガード」、「ステップフォード・ワイフ」、「ドミノ」等など。 「カリブ」は好きだったジョン・フリン監督作なので期待していたが残念なデキ。 「エクセス・バゲッジ」の、おっかない顔して案外優しいヤクザの叔父さん役は良い、ここには車泥棒役でベネチオ・デル・トロ。 なお、デル・トロは「フューネラル」でも共演。 小品だけど「デッドレイン」の泥棒役はさっぱりしていて好きだった。
オタクねただがTV「刑事コジャック」に、邪魔になった相棒を罠にはめる冷酷な犯罪者役で出演。 愛人役にはキャロル・リンレーという、今では考えられない豪華ゲスト。
「アステカの秘宝」はウォーケンの名を借りた愚作！ 挑戦するのは覚悟の上で。 熱狂的ファンの多い人だからすでに鑑賞済みと思いますが、念のため。 それと、ＴＶドラマ「潮風のサラ」の農民役はちょっとつらかったなあ、なにしろ共演はグレン・クローズですし。