ジーン・ハックマン、マイケル・Ｊ・ポラード、フェイ・ダナウェイ、エステル・パーソンズと揃った「俺たちに明日はない」は鮮烈だったが、しがないアウトロウを演じるビーティの「押し出し」の強さに悩んだのは、ワタシだけだったろうか？
その「押し出し」ゆえに、「おかしなレディ・キラー」、「シャンプー」、「天国から来たチャンピオン」とプレイボーイ役の連発なのだが、さすがと言うか、案外これがワンパターンにならないのが、彼の侮れないところかもしれない。
ジャック・ニコルソンとのコメディ「レディ・キラー」は、笑い爆発とはいかなかったが、冴えない男を演じる意欲は買えたし、女とヤリまくりのヘアデザイナーを演じた「シャンプー」では、根無し草の遊び人の持つ「漠然とした不安」を感じさせて印象深かった。 リメークとなる「天国から来たチャンピオン」は、ジュリー・クリスティ共演のラブ・ファンタジーもので、心優しきクォーターバックを演じるビーティは、カラッとした明るさをみせて爽快。 ユーモラスな中にも、さりげなくロマンティックが語られていてモチゾー一押し。 なお、ジュリー・クリスティは「シャンプー」にも愛人役で。
その他では、ゴールディ・ホーンとの「バンクジャック」がお薦め。 コメディタッチながらもスキの無い演出で退屈しないデキ。 なお、ゴールディは「シャンプー」でも愛人の一人として出演している。
社会派アラン・Ｊ・パクラ監督のサスペンス「パララックス・ビュー」は、まったりした展開だが、それゆえにジワリと迫る恐怖が魅力。 ただし、ラストのリアリティの欠如を許せればもっと楽しめたのだが・・・。
大作「レッズ」は、正直、長過ぎてついていけず、評価外。 「バグジー」は散漫な印象で見直す気になれないでいる。