スティーブン・スピルバーグ作品「シンドラーのリスト」では堂々のシンドラー役、アイルランド紛争を描いたニール・ジョーダン作品「マイケル・コリンズ」では主演のコリンズ役、ビレ・アウグスト版「レ・ミゼラブル」ではジャン・バルジャンと、その押し出しを生かしてスターとなったリーアム・ニーソンですが、そこそこ作品に恵まれているにもかかわらず、我が国では見向きもされてません。 女性に人気の「ラブ・アクチュアリー」にも出ているのに、悲しいかな世間はヒュー・グラント一色。それもそのはず、生まれながらの老け顔だし、どこか垢抜けないし、なにより笑顔のイメージがなく可愛気に欠けますから。アイルランド出身ということでヨーロッパ映画への出演が多いのも災いしてるのかも？
そんなリーアムが、ならではの押し出しと気品を見せたのが、「嵐の中で輝いて」でのドイツ軍将校フランツ・デートリッヒ役でした。一般市民のメラニー・グリフィスが、愛する男（マイケル・ダグラス）と祖国のために、スパイとしてドイツに潜入するというサスペンスですが、ご都合主義の腑抜けな展開は、ほとんどハーレクインのような内容。それゆえ、リーアム・ニーソンの存在だけが救いで、その時の印象を大事にここで取り上げてみました。
他には、ピーター・イエーツ監督の「容疑者」、ミッキー・ロークがIRAテロリストを演じた「死にゆく者への祈り」、半端なサスペンスコメディだった「ガンシャイ」、ハリソン・フォードとの潜水艦もの「K−19」、それに「バットマンビギンズ」ぐらいしか見てませんが、たしかに、これっという作品が無いので、「シンドラーのリスト」でドカンとこなかったのは痛かったかも？
ところがです、最新作「96時間」では、元工作員役のリ−アムがびっくりするぐらいのハイテンポなハードアクションを見せて、スティーブン・セガールをアクション墓場に送り込んでもお釣りがくるくらいに楽しませてくれるのです。がしかし、久々の痛快アクションで作品的には十分満足なんですが、あまりにスピード感溢れる展開のため、人間ドラマ的部分に深みが無いので、ここにリーアム・ニーソンが必要なのか？という疑問は残るのでした。