チョイ役だった学園もの「恋のスクランブル」から、「シュア・シング」、「ハイ・フィディリティ」まで、万年青年情けな系として君臨。 押し出しの無さが魅力で、個人的には軽めのコメディで良い味を出すと思うのだが、シリアスドラマや犯罪ものにも意欲的に出演しているようだ。
生き方に悩む殺し屋ジョン・キューザックが、同窓会に出席のために故郷に帰り、ドタバタに巻き込まれながらも、自分探しをする「ポイント・ブランク」は、ブラックな味つけのコメディで、結構、笑わせる。 姉のジューン・キューザックが秘書？役で共演。 元の恋人役にミニー・ドライバー。
他に、「グリフターズ 詐欺師たち」、「コン・エアー」、「アイデンティティ」とタイプの違う犯罪ものに出演しているが、ヒネリが効いている異色ミステリー「アイデンティティ」は、ちょっと強引な展開ながら見る価値あり。 「コン・エアー」は退屈しないジェットコースター。
大リーグの八百長事件を扱った「エイトメン・アウト」は野球ファンならずとも見逃す手はない作品。 航空管制室で飛行機の離着陸を管理する男達のストレス人生を描いた「狂っちゃいないぜ」は、浮気相手のアンジェリーナ・ジョリーの強烈セクシーさに気をとられて影が薄かったがそれもまたキューザックらしくて良し。 作品的にはサスペンスを期待すると裏切られるかも。 若き日のヒトラーの姿を描いた「アドルフの画集」は、予想通り重苦しい作品だったが見るべきものあり。 キューザックは政治に傾きかかるヒトラーに絵を描き続けることを勧める画商役。
あとは、「トゥルー・カラーズ」、「マルコヴィッチの穴」、「セレンディピティ」等々あり。
最後に製作にも参加した「シカゴ・ドライバー」を紹介。
次から次へと客を運び続ける平凡なタクシー・ドライバーの生活を、ドキュメンタリー・タッチで描いた作品。 舞台劇の映画化らしく、様々な人間模様を淡々と描きながらも、徐々に、ポール・ディロン演じる心優しきドライバーの心情を浮かび上がらせていく傑作だ。
ドライバー仲間にマイケル・アイアンサイド、トラックで雑貨販売しているオッさんにロン・ディーン、客にジョン・C・ライリー、ジリアン・アンダーソン、ジュリアン・ムーア等、キューザックは今にも銃を突きつけそうな危険な客として出演。 寒々した風景描写も素晴らしいし、パール・ジャムの音楽も話題。
新作はジョン・グリシャム原作の「ニューオーリンズ・トライアル」で、「拳銃乱射事件」の陪審員に入り込み、他の陪審員の心を掌握、「判決」を悪徳弁護士（ ジーン・ハックマン ）に売るというハッカー役。ストーリーは、勿論、アメリカ万歳！「正義が勝つ」の類型ではあるが、しっかりした脚本に支えられた一級のサスペンスで、退屈しない。 弁護士側に雇われている凶暴そうな実行犯を追いかけるシーンでは、たとえ、追いついても勝てるのか？が心配なキューザックであった。
ダイアン・レインとの「理想の恋人．ｃｏｍ」は、恋に臆病な大人たちの恋愛もの。
最新作「ザ・スナイパー」では、母を亡くして以来会話のなかった息子との関係を取り戻すために山歩きに出た先で、国家的犯罪に巻き込まれるというサスペンス。 キューザックは元刑事の教師役。 殺し屋役のモーガン・フリーマンは当然、ただのワル者じゃなく・・・。