脚本家デビッド・マメット派。
やはりマメット派のジョー・モンテーニャ、リンジー・クローズ（ マメットの奥方らしい ）主演の「スリル・オブ・ゲーム／詐欺師からの誘惑」では、詐欺師モンテーニャにまんまとハメられるお人好しの海兵隊役で出演している。 ただし、モンテーニャがカモと狙うクローズ（ 精神科医でもある人気作家 ）に、詐欺のワザを伝授するための実験台だったので金は取られずに済む。 続く「殺人課」では、モンテーニャの相棒刑事役で銃弾を喰らっていた。 いずれも、マメットが監督も兼ねている。
代表作のひとつと言えるのが、コーエン兄弟の「ファーゴ」で、義理の父の金目当てに、妻の偽装誘拐を企む自動車セールスマン役を演じている。 淡々とした展開のうちに、事がとんでもない方向に向かう犯罪ものだが、大げさな演技をしないメイシーの存在はジワジワとくる魅力あり。 生活感溢れる警察署長役フランシス・マクドーマンドも良い。 メイシーに雇われる実行犯役でステーブ・ブシェミ。
メイシーが殺し屋役で主演した「パニック 脳壊」も、彼の持つ味わいが生かされた佳作だ。親の仕事を継いで殺し屋になった男が、その生き方に悩み、遂には崩壊する様を描いた作品だが、メイシーの持つ静寂が、アイデンティティを失った人間の「悲しみ」を浮きぼりにしている。 カウンセリング先で出会うネイブ・キャンベルも魅力的で、メイシーが思いを寄せるのも納得。
軍隊ものコメディ「潜望鏡を上げろ」では、ケルシ・グラマー率いるボロ潜水艦とウォー・ゲームで対決する海軍上官役。 ガス・ヴァン・サント版「サイコ」では、私立探偵役でベイツモーテルを嗅ぎまわるも、どうやら沼に沈められた模様。 ７０年代のポルノ業界を描いた「ブギーナイツ」では色情狂の妻に悩まされるマネージャー役で。
近作にはキム・ベイシンガー主演の携帯使用サスペンスもの「セルラー」でのベテラン刑事、「Ｕボート最後の決断」の艦長に代わり指揮をとることになるチーフ役などがあり、シブさを発揮している。
その他、「ボビー・フィッシャーを探して」、「ゴースト・オブ・ミシシッピー」、「マグノリア」、「ウエルカム トゥ コリンウッド」、「特捜刑事スパルタン」、「その男、静かな隣人」などあり。ここには好みの違いはあろうけど見る価値ありがズラリ。天才チェス少年をめぐる人生もの「ボビー・フィシャーを探して」、付き合いの長いデビッド・マメット監督の「特捜刑事スパルタン」がお薦め。なお、「ボビー・フィッシャー」には僚友ジョー・モンテーニャ出演。