カート・ラッセルとマデリーン・ストウにつきまとう、サイコ犯を演じた「不法侵入」のイメージが強いせいか、どうしても、今になんかやらかすんじゃないかという目で見てしまっている。 実際にやらかしたのは、エアパニックものの「乱気流／タービュランス」。 一発屋説も出ているジョナサン・デミ監督の「サムシング・ワイルド」でも、元妻メラニー・グリフィスを追いかけまわす危ない男を演じている。
逆にやられたのが「ハンニバル」で、 脳味噌食われているのにニヤけていた。
このところ、ポリス役専門になりつつある。
シルベスター・スタローンにハーベイ・カイテル、ロバート・デ・ニーロが絡む「コップランド」、主演リオッタが悪徳警官を演じる「フェニックス」、近作では暗い過去を持つリオッタと、ジェイソン・パトリックが組んだ「ＮＡＲＣ ナーク」、多重人格ものと、チンケなホラーものを強引に引っ付けたような「アイデンティティ」等々。
いずれも一癖ある怪しい警官役だが、内容的には「コップランド」が一押し。 「アイデンティティ」は全員がモーテルに集まるまでは緊張感があるのだが、やはり脚本的無理がたたったのか尻つぼみ。 休職中の警官役でジョン・キューザック、落ちぶれた女優役でレベッカ・デモーネイが共演。 デモーネイの「傲慢さ」が良い味出していると思えたが、アッと言う間に最初の犠牲者に。
「危ない眼」をした彼が出ると、「何かが起こる」的ムードを醸し出すのでついつい見入ってしまうのだが、それこそがレイ・リオッタの凄いところだろう。 但し、ド派手な展開が似会わないのでどうしても重苦しくなり、作品自体に爽快感に欠けるのはいなめない。
その他、ジョン・ダール監督に期待した「アンフォゲタブル」は、ダール組のリンダ・フィオレンティーノが共演するサスペンスだが、あり得ないストーリーなのがちょっと残念。
普通のリオッタなら病院内ドラマの「ドッグ・ソルジャー／白い戦場」。 あとは、ぜひとももう一度見直してみたいマフィアもの「グッドフェローズ」がある。