就職間近の平凡な大学生、恒夫（妻夫木聡）が、バイト先でウワサになっている乳母車を押す怪しい婆さんと遭遇。 乳母車の中には、下半身マヒで歩けない少女ジョゼ（池脇千鶴）が乗っていた。 適当に恋人もいた恒夫だったが、不思議な魅力を持つ孤独な少女ジョゼに惹かれ、共に暮らしだすのだが・・・。
切ないラブストーリーということなので、てっきりジョゼの悲しい運命が描かれているのかと思ったら、意外にも、二人は普通の男女のように別れてしまうというサッパリ系。 そこは良かった。 海を見たことがなかったジョゼをオンブし、砂浜で戯れる二人が印象的。 犬童一心監督作品。
偶然、ヤクザに追われる妊婦を救ったことから始まるクール＆スタイリッシュなガンアクションもの。 スタイリッシュと言われた作品に名作なしなので、見る方がよりクール！ せっかく助けたはずの妊婦が、逃げ惑う最中に子供を産み落とし、流れ弾で死んでしまうという荒っぽいストーリーは、さすがスタイリッシュ！と小バカにしてましたが、この荒唐無稽さがどんどんエキサイトしていくので思わず笑っちゃうほど。 ここまでやってくれれば十分でしょう。 小難しいことを言わずにタイトにまとめて８７分も良かった。 主演がクライブ・オーウェン。 子供の世話を頼まれる娼婦役でモニカ・ベルッチ。 ワル役にポール・ジアマッティと豪華配役。
競馬好きのタクシードライバー、トロッター（リチャード・ドレイファス）は、仕事仲間が盗み聞きした情報を信じて５０ドルを賭けると大穴的中！ そこから、借金だらけのしがない男の夢物語が始まるのだった。
情報もとの競馬関係者にわざわざ礼にいくと、むこうはてっきり強請られるとビビルのだが、ホントに礼を言うだけ、そんな憎めない男トロッターに訪れた人生最良の日は、見ている方にも爽快感を与えてくれます。ギャンブルにのめり込むトロッターを、それでも愛してやまない妻パム（テリー・ガー）も素敵でした。
剣術を教えてくれた父の行方を追う、離れごぜの市（綾瀬はるか）は、旅の途中で知り合った浪人、藤平十馬（大沢たかお）と共に、町を仕切る白川組と万鬼党との対立、抗争に巻き込まれるのだった。
居合の達人である市の殺陣が、ＣＧ頼りのスーパーアクションでなかったのがなにより。 綾瀬はるか使用なので、こ汚さがないのも良かった。 お人好しの浪人を演じる大沢たかおは儲け役だったが、問題は万鬼党の親分を演じた中村獅童。 相変わらずの歌舞伎調の大袈裟さは暑苦しいかぎり！ 監督が悪いんだろうけど。 「おっぱい座頭市」ってタイトルにすれば、内容関係なしに大ヒットしたろうに。
裕福な家庭に生まれた少年「真知寿」は、絵が好きで画家になるのが当然のように育ったのだが、突然、父親の会社が倒産！ 両親の自殺で貧困の中、画家としての成功だけを夢見て人生を歩むことになるのだった。
観客にコビることを捨て、ホントの殿様になっってしまったこの頃の北野作品には魅力を感じなかったのですが、芸術で成功することとは？ 才能とは？ 難解ながらも伝わるものありでした。 作品内に挿入される監督自身の手によるフェイク画も楽しいのですが、あらゆるフェイクを次から次と描いてはみても、自分らしい絵は遥か遠く！ 世界の北野も、そんな思いを抱いているのではないでしょうか？
地球を守るため、悪の根源たる人類を全滅させる任務を負った宇宙人クラトゥ（キアヌー・リーブス）が、強力な武器と共に地球に降り立った。 軍の手からクラトゥを救った科学者ヘレン（ジェニファー・コネリー）は、地球崩壊を防ぐために任務の中止を説得するのだが・・・。
ＣＧ嫌悪派としては映像的に見るべきものなしなので、楽しめませんでしたが、神ではなく、宇宙的第三者が人類の過ちを正そうとする発想自体は悪くないと思います。 しかし、リメークなので、その発想は、多分オリジナル（未見ですいません）の手柄。 そうなると、やはり、この作品自体には、さほど見るべきものなし、という悲しい結論。
大きな仕事ができず、なかなか足を洗えないでいる泥棒コンビのガス（クリストファー・ランバート）とブルノー（クリストファー・ロイド）が、忍び込んだ宝石店の金庫にあったのは、盗まれたばかりで大騒ぎになっているビザンチン帝国の秘宝だった。
秘宝をめぐって、トルコ政府、ロス市警、ＣＩＡ、そして謎のテロリストが入り乱れるスラップスティック・コメディですが、原作ドナルド・Ｅ・ウェストレイクが脚本も書いただけあって、次から次とテンポ良く展開されて、退屈することなし。 ただし、大好きだった同じウェストレイクの「ホットロック」と比べると品格はなし！ ロス市警の刑事役でＪ・Ｔ・ウォルシュ、故買屋役でマイケル・Ｊ・ポラード。
母親の遺した定食屋を経営するブサイク男、大木琢郎（塚地武雅）が美人アルバイト、寛子（北川景子）に恋し、告白したが、あっさりふられてしまう。 そんな琢郎が着るだけでハンサムになれるスーツを手に入れ大変身！ 新たな人生を歩むチャンスが来るのだが・・・。
人は見かけか？ココロか？という有りがちなテーマの他愛もないコメディ。 寛子の代わりにバイト希望でやって来た森三中、大島の存在もネタバレ！ 塚地、北川の「間宮兄弟」が楽しめたので期待していたけど、いけませんでした。 ポップアート的な定食の盛り付けだけが救い。
企業が刑務所を運営する近未来。 囚人同士を改造車で闘わせる殺人レースが行われていた。 ネット中継されるレースの人気確保を狙う冷酷な女所長は、元レーサーのエイムズ（元レーサー＝ジェイソン・ステイサム）に妻殺しに汚名を着せ、事故死したスタードライバーの替え玉として、レースに参加させるのだが・・・。
一部でカルト視されたロジャー・コーマン監督作品「デス・レース２０００」のリメークとなる作品ですが、カーアクションに力を注ぐあまり、ラストは気抜けするほどあっさり。 オリジナルを買っていないので期待してなかったけど、そんなあっさり具合は悪くない気がしました。 メカニックのリーダー、コーチを演じるイアン・マクシェインが渋い。なお、元版にはデビッド・キャラダイン、シルヴェスター・スタローン出演。
コンピュータービジネスで大儲けしたかつてのプレイボーイ、ドン・ジョンストン（ビル・マーレー）のもとに、「あなたと別れて２０年、言ってなかったけどあなたの息子は１９才です」という匿名の手紙が届く。 おせっかいな友人ウィンストンの計らいで、気が進まないまま、昔つきあった女性達を訪ねる旅に出るのだが・・・。
ジム・ジャームッシュとビル・マーレーの組合わせですから、そこはかとないユーモアに包まれた作品となってます。 明確なテーマを求めて挑んだら、きっと気抜けするでしょうよ！ 訪ねる女性陣には、ローラ（シャロン・ストーン）、カルメン（ジェシカ・ラング）、ベニー（ティルダ・スウィントン）。
やはり同じく脱力作品に、ジョン・キューザックが昔の恋人を訪ね歩く「ハイフィディリティ」ってのもあり。
バンドブームの真っ只中、ＴＶ番組でもアマチュアバンドが脚光をあびた時代。 中島率いる「スピードウェイ」もブームに乗ってデビューを果たし、ファンに囲まれチヤホヤされる日々だったが、あっという間にブームも去り、生き残るには世の中のニーズに適応することが求められていた。 現実と理想の狭間で悩む苦しむ中島の前に、ある日、突然、ロックの神様ボブ・ディランが現われた！
原作みうらじゅんのディランへの思い、ロックへの思いがビンビンに伝わってくるマジな青春もの。 脚本の宮藤官九郎にも、みうらの思いが伝わったのだろうひねり過ぎることなくストレート！ 切なさの中にも真摯な思いが伝わってくる作品でした。 監督は田口トモロウ。
住んでいた家が差し押さえになり、父親（イッセー尾形）の「解散」の一言で一家はバラバラ。 中学二年生の田村裕少年（小池徹平）のホームレス生活が始まるのだった。
ご存知の通り、麒麟田村の大ベストセラーの映画化ですが、美化されているとはいえ、実体験ならではの悲しさあり。 貧しくも清く生きる田村兄弟の姿は、貧しいふりして１０００円の高速に群がる卑しい日本人とは対称的。 思っていたよりずっと楽しめる作品でした。 姉ちゃん役の１０キロオンナ、池脇千鶴が良いし、兄ちゃん役のキングコング西野も悪くない。
やり手のＣＩＡ工作員ロジャー・フェリス（レオナルド・ディカプリオ）と上司エド・ホフマン（ラッセル・クロウ）は、爆破テロ組織のリーダーを捕らえるために罠を仕掛けるのだが・・・。 利用した民間人がテロリストの手によって殺されたことをきっかけに、現場で生き抜くフェリスと、オフィスから電話一本で命令を下すだけのホフマンの間に亀裂が生じるのだった。
中東を舞台に、様々な駆け引きや罠が張り巡らせられた緊張感のあるミステリーに仕上がってます。 ただし、国家的陰謀を防ぐ立場にあるはずのフェリスが、現地の女性に思いを寄せたために危機に陥るというセンチさはどうなんだろうか？ それゆえに盛り上がるのだけれど、当たり前過ぎてウソ臭くもあり！