知らなきゃあモグリだ！
70年代を代表する小悪党専門スター
70年代のアクションものには欠かせないスターですが、あまりにも小物過ぎて、正直、代表作が浮かびません。 それでも、大好きな作品への出演が多いので、思い切ってここに紹介してみます。 ただし、出番が少ない人なので、作品紹介に重きが置かれることはお許しを。
まずは、ニュー・シネマ的エッセンスのある作品を紹介。
車の運び屋コワルスキー（バリー・ニューマン）が警察の追跡をかわし、暴走を続ける「バニシング・ポイント」では、ラジオ放送でコワルスキーに脱出ルーツを教える、盲目のＤＪ（ クリーボン・リトル ）を叩きのめす警官役で出演。 ＤＪを殴りつけたあとの差別主義者コスロの表情はやけにリアルでした。 作品的には、虚無感を漂わせ、「死」に向かって突っ走るコワルスキーが魅力的ですが、いまひとつ人間の奥底を描ききれず、その点は残念。
なお、ヴィゴ・モーテンセンによるリメーク版あり、こちらも見る価値ありです。
続いては、ベトナム帰りの四人の若者達が居場所の無さに戸惑い、生きる意味を再び「戦争」に求めてしまう、という「ソルジャー・ボーイ」に出演。 「バニシング・ポイント」のような大ヒットとはいきませんでしたが、あの時代らしいテーマで、見逃すことの出来ない作品でした。
ここでのコスロは、物静かでまったく目立っていませんが、見ようによってはハンサムと思えるほど、スリムで良い感じです。 主演に保守的な父親とソリが合わずに、故郷を捨て、皆と牧場経営を夢見るジョー・ドン・ベイカー！ 若者と言うにはちょっと老けていましたが、個人的には大注目で、当然、モチゾーにて取り上げる予定です。 ここには、怪しいモーテルのオーナー役でジョフリー・ルイスが出演。 娼婦達を斡旋してくれます。
この先は魅力たっぷりな小悪党コスロを紹介。
まずは、ウォルター・マッソウ主演、ブルース・ダーン共演の傑作ミステリー「マシンガン・パニック」に、滅刑してもらいたい一心で、マッソウ達にネタを流す、ヤクの売人役で。 金髪のロンゲなのに、てっぺんが薄いので小物感丸出し！ 目つきの悪さも相当のもので、チョイ出演なのに忘れられません。 ここでは、マッソウの上司役アンソニー・ザービが良い味だしてます。
似たような役どころだったのが、ジェイムズ・カーンとアラン・アーキンが組んだドタバタ・ポリス・アクション「フリービーとビーン／大乱戦」の前科者役です。 カーンとアーキンに脅かされて、ビビリまくりでネタを流していましたが、コメディタッチゆえにかコスロの持つリアルさが、より印象的でした。 やはり、魅力的な？ロンゲも披露されています。
続いては、何本かあるチャールズ・ブロンソンとの共演作を簡単に。
無敵のブロンソンがアル・レティエリと対決するカントリー・アクション「マジェスティック」では、あまりに小物だったためか、最後はブロンソンに見逃してもらってました。
ブロンソン映画の命題である、「ジル・アイアランドの存在」が足を引っ張ったとしか思えない「殺人のはらわた」にも殺し屋役で出演。 ボス（ ロッド・スタイガー ）の命令でアイアランドを付け狙っていましたが、対立する殺し屋のヘンリー・シルバに、はめられて警官に撃ち殺されてしまいます。
どうしてもワンパターンになりがちな小悪党コスロが、残虐なところを見せたのが、ポール・ニューマン主演の一級サスペンス「新・動く標的」でした。
ここでのコスロは、髭なんぞ蓄えて、凄みを出していますが、ボスのマレイ・ハミルトンの言うままに、仲間だった悪徳刑事リチャード・ジャッケルに犬をけしかけて、口封じしてました。 ラストは、しつこくつきまとう探偵ハーパー（ ニューマン ）を「魔のプール」で水攻めにしますが、ドアを開けたとたん溜まっていた水が溢れ出し、壁にうちつけられて死亡！
マレイ・ハミルトン、リチャード・ジャッケルの他にも、アンディ・ロビンソン、リンダ・ヘインズ、アンソニー・フランシオサ、とクセ者ズラリの中、決して目立ち過ぎることなく、しかし、しっかりとポール・コスロはそこにいるのでした。
脇役スターの宝庫となる西部劇にも、当然、出演してますので紹介。
まずは、クリント・イーストウッドが貫禄満点にジョー・キッド役を演じた「シノーラ（原題JOE KIDDO）」に、町の有力者ロバート・デュヴォルの手下のガンマン役で出演。 ラスト、列車ごと突っ込んでくるイーストウッドに撃ち殺されています。 ここには、ドン・ストロードも仲間のガンマン役として出演していて、コスロとの夢のようなツー・ショットが実現されました。
悪人を60人も撃ち殺したために保安官の職を解かれたルースター・コクバーン（ ジョン・ウェインがユーモアたっぷりに演じて、魅力いっぱい ）が、路頭に迷った男勝りな牧師（ キャサリーン・ヘップバーン ）と組んで追跡する痛快ウエスタン「オレゴン魂」に、ニトロを盗み、銀行強盗を企む悪党どもの一人で出演。 顔中、髭だらけの上、テンガロン・ハットでは認識が大変！そのぐらい地味だったのでコメントは控えさせてもらいます。
悪党のリーダーにリチャード・ジョーダン、旧友コクバーンに義理を通したために殺されるアンソニー・ザービが、またしてもオイシイ！
以上、なかなか話題になることの無いスター、ポール・コスロについて書いてきましたが、未見も多く、あまり、話題を広げられなかったことに情け無さを感じます。
それでも、確認のために見直したコスロは、やはり、あの時代ならではのアクションものに欠かせない存在だと再認識させられました。 それは、彼が見るからにワルヅラの犯罪者を演じながらも、決して、「クドサで目立つ」ことがなかったからだと思います。 その点で、私は、彼、ポール・コスロの名を語り続けようと思っているのです。
最後に、良い人役としては、「地球最後の男 オメガマン」があること、ズラ使用で見逃しかけた作品には、「チェーンヒート2」があることを述べて終わります。いずれも、内容的には悲しいデキでしたが・・・。