刑務所送りになっているドク（スティーブ・マックィーン）は、監獄暮らしに辛抱たまらず、妻キャロル（アリ・マッグロー）を仮釈放委員会に顔が利くマフィアのボス、ベニオン（ベン・ジョンソン）の元へと取引に向かわせることに。無事に出所したドクはベニオンとの約束通り銀行を襲うのだが・・・・。
マックィーンというスーパースターと組むことになった巨匠ペキンパーが、こだわりの中にもポップさを見せた痛快作です。小気味よいアクションは当然ながら、ボスと寝たキャロルへの嫉妬に狂うドク、派手にショットガンを撃ちまくっている時に車にぶつかりすってんころりんのドクと、ストイックな中にも人間味を見せるマックィーンが素晴らしい！ ドクと共に銀行を襲うアル・レティエリ、ボー・ホプキンスもそれぞれに持ち味発揮！と文句のつけようのないデキのようなんですが、見直したら、ドクとキャロルはなぜに、仲間割れして行く必要がなくなったホテルへ向かったのか？という疑問が・・・。脚本はウォルター・ヒルなんですがねー、見直して少し不幸になることもあるんだよね。
文書偽造で稼いでいるチンピラ詐欺師キャッシュ（ジャン・デュジャルダン）が、伝説の詐欺師マキシム（ジャン・レノ）率いる詐欺グループと共に、まんまとダイヤモンドを盗み出すまでを描いた軽快なサスペンス。
この手の作品は、見ている方も「ひっかけ」を見破ろうと気を張ってますから、ちょっとやそっとのオチでは意外性を感じないものです。ゆえに、もっともっとフランス映画的情緒がほしかったです。フランス版「オーシャンズ11」との謳い文句でしたが、スケールでは及ぶはずもないわけですからね。
軽快さと情緒をうまくミックスさせてこそ、近代フランス犯罪映画史に残るわけで、惜しいものはあるけどまだまだ。重厚なだけで名作扱いされている作品よりはずっと好感持てるけどね。
落ち目の女優ノーラ（アン・バクスター）は、ゴシップ専門のコラムニスト、パークス（メル・ファラー）に過去の横領ネタで恐喝されていた。その上、パークスはノーラの友人で秘書のジーンと結婚することに。思いあまったノーラはパークスの車を爆破させたのだが、な、なんと、その車に乗っていたのはジーンだった。
ジーンがパークスに間違えられて殺されたという線から捜査に当たるコロンボ（ピーター・フォーク）が行き詰った先には・・・。大女優ノーラの過去までもがリンクされる展開には、今さらながら立派な脚本に支えられていると思い知らされます。ただし、パークスのジーンへの思いが、ノーラの言うとおりの「カネ目当て」だったのか？が曖昧に終わったのはちょっと残念！
犯人が大女優という設定なので、よれよれコートにオンボロ車のコロンボとの格差が小ネタになって散りばめられていて、苦笑いを誘います。
とある男子校。新学期が始まり三年生となった九條（松田龍平）は、屋上で行われる命がけの度胸試し「ベランダゲーム」で勝者となり、学校を仕切る権利を得るのだが、それは、無目的に生きる九條にとって何の意味も持たないものだった。
九條とつるんでいた仲間達が次々と去り、子供の頃からの友達だった青木（新井浩文）までもが反発！ 九條にとってもショックな結末が訪れるという青春ものですが、深みは無いけれど、ヒリヒリするような感覚が残る作品でした。特に、九條に対する憧れが、嫉妬に変わり、憎しみにまで加速していく青木の行動には伝わるものあり！ 随所に流れるミッシェル・ガン・エレファントのニヒルで殺伐とした音楽もマッチしています。人気漫画家、松本大洋作品の映画化とのこと。
西暦2087年、惑星シリウスではエネルギー確保のための採掘をめぐり、地球連合軍と経済ブロックとの10年にわたる戦闘が続いていた。そんな時、連合軍側が防御のために開発した自己修正能力を備えた生物破壊兵器誰スクリーマーが急速に進化、その姿を人間に変えて無差別攻撃を始めたのだった。
誰がスクリーマーなのか疑心暗鬼の中、停戦のために敵地へ向かうヘンドリクソン司令官（ピーター・ウェラー）達を描いてスリルあり！ラストの湿っぽさは「ブレードランナー」的と思ったら、原作はフィリップ・K・ディックでした。スクリーマーが進化して人間の姿に変化するという設定は低予算B級ものの常道ですが、そこを差し引いても見るべきものあり！
パリ在住のCIA捜査官見習いリース（ジョナサン・リース・マイヤー）は、米国から来たはみ出し捜査官ワックス（ ジョン・トラヴォルタ）と組んでテロ集団を追うことに。荒っぽい現場に馴染めないリースが、無鉄砲なワックスに振り回されながらも、いっぱしの捜査官になるまでを描いたコメディタッチのスーパーアクションです。
前作「96時間」で歯切れの良いアクションをキメたピエール・モレル監督作品なので期待大でしたが、アクション自体のキレは認めるものの、残念ながら「96時間」と比べると残るもの無しでした。トラヴォルタ起用はコメディ味を出したかったからでしょうが、「96時間」で本格派リーアム・ニーソンに鬼タイトなアクションを求めたのに比べると予想通りの設定ですからね。とは言ってもコメディで残るものありって作品は皆無に近いですから、ここまで楽しめせてくれれば十分、とても責める気にはなりません。
仮釈放となったセイラー（ニコラス・ケイジ）を待っていてくれたのは恋人ルーラ（ローラ・ダーン＝セクシー度0％で魅力なし！）。二人は再出発を誓うのだが、邪悪な心を持つルーラの母親（ダイアン・ラッド）が、二人の仲を裂こうと私立探偵（ハリー・ディーン・スタントン）に二人の後を追わせた上に、殺し屋まで雇うのだった。
逃避行を続ける恋人達を描いた純愛ものですが、そこはデビッド・リンチ！当然、一筋縄ではいきません。ルーラの母親のイカレ具合はおぞましいし、流れ者（ウィレム・デフォー）と組んでの強盗シーンは笑うとこなんだろうけど、えげつないことこの上なし！ ここらを苦もなく楽しめればリンチ信者なんでしょうけど、ワタシは無理！ なにしろリンチものはテンポが悪いというよりテンポ無しだからねえ。 断片的には良いシーンもあるのでバッサリ！とはいかないけど、正直、リンチワールドは解りませーん！撤退！
なお、ローラ・ダーンは、ダイアン・ラッドの実の娘で、父親はブルース・ダーン。
妻の尻に敷かれる、冴えない中年サラリーマン須賀（カンニング竹山）は、通勤中に親切にしてくれた高校生の涼子に心を奪われてしまう。ストーカーまがいに涼子を追う須賀だったが、涼子を拉致し乱暴しようとする連中がいることを知り、友人達の助けを借りて彼女を救いだそうとするのだった。
涼子を襲うのがサイコな連続殺人犯という設定が、ただのドタバタコメディにハードさをプラスしていて見せ場になってます。一緒に現場に乗り込む友人（腕力担当のヤクザ者＝佐々木蔵之介、頭脳担当の引きこもり少年）との関係には味わいがあるのに比して、やたら大げさに振る舞う暴力妻（寺島しのぶ）の存在には納得いかず！まったく笑えないし、ラストもとってつけたようで残るものもなしだったし。これって、単に、寺島しのぶが好きじゃないからかなあ？
妻に出て行かれ、高校生の一人娘咲子（仲里依紗）と暮らす磯辺裕次郎（宮迫博之）に父の急死による遺産がころがり込む。咲子の意見も聞かず、ダサい「純喫茶磯辺」を始めた裕次郎だったが、予想通りお客の来ない毎日。ところが、アルバイトに素子（麻生久美子）を雇って以来、素子目当てに客が集まりだしたのだが・・・。
可愛いさはもちろん存在にパンチのある仲と、貧乏くさくて見る気になれない麻生とを秤にかけたら、圧倒的に仲の勝ち！ってなわけで見ましたが、これがなかなか楽しい作品でした。なにしろ、清楚な外見とは程遠いアバズレだった素子役の麻生久美子が良いんですよ。チラシをゴミ箱へ捨てたり、レジから金を抜いたり、裕次郎に気のある素振りをしたりと確かに性質が悪いんだけど、自分の性質の悪さを理解しているところがある風で、実は賢くて良いヤツなのかも？と思わせるんです。なので、小難しいことなしのコメディなのに残るものがあるんです。情けないオッサン宮迫も良いし、今時の高校生っぽいふてくされ具合が似合う仲里依紗、サイコー！
幕末の京都。新撰組にひとりの美少年、加納惣三郎（松田龍平）が入隊。妖しい美貌の惣三郎をめぐって血気盛んな男達の中に、嫉妬とウワサが駆けめぐるのだった。そんなある日、惣三郎と関係した隊士、湯沢が惨殺され、残された証拠から嫉妬に狂った新撰組の隊士、田代（浅野忠信）の仕業ではと思われたのだが・・・。
法度による縛りで血の結束を維持する組織「新撰組」が、ひとりの美少年の入隊によって根底から揺るぎだす様を描いた大島渚監督作品です。サラッとした展開の中に、法律とかの決まり事より人間の奥底に潜む欲望こそがエネルギーの源なんだという監督の思いが伝わります。
1930年代のフランス。沼地周辺に世捨て人のように住みついた復員兵ガリス（ジャック・ガンブラン）と、その隣人リトン（ジャック・ヴィルレ）の家族（クリクリは末娘）は、貧しいながらも自由気ままな暮らしを楽しんでいたが、リトンはガリスがいつかこの土地を出ていくだろうことを案じていた。
彼らと街の人々との出会いをしみじみタッチで描いた作品で、タイトルからくるイメージとは違い安っぽい泣かせがなかったのがなにより。お人好しだけど酒にだらしなくドジで間抜けなリトンに呆れながらも面倒をみてしまうガリスはホントに良いヤツです。そんなガリスもトラウマを抱えているのだけれど、そこらに深入りしてないのも、さっぱりしていて良かった！自給自足の毎日なのでスズランを摘んでブーケを作りカフェの客に売ったり、雨の翌日にエスカルゴを獲りに行って市場で売ったり、カエルを釣ってレストランに卸したりとほのぼの楽しいシーンが満載！ 名作です！
定年間近の万年課長、早乙女良介（財津一郎）が、専務の息子の結婚式でスピーチを頼まれたから、さあ大変！寝る間も惜しんで考えたエピソードだったが、先にスピーチした部長がまったく同じ内容のエピソードを語りだしたため、その場で固まり言葉を失う早乙女良介だった。
平凡なサラリーマン家庭に起こった些細な出来事をユーモアたっぷりに描いたホームドラマですが、渋面の財津一郎がならではの存在感で小市民の哀感を伝えてくれてます。
アイルランドの首都に近い寒村。教師チャールズ（ロバート・ミッチャム）は、村での生活に飽き足らずにいた20才年下のローズ（サラ・マイルズ）と結婚したものの、ローズの欲求に応えられず、不満のローズはアイルランド独立運動を阻止する守備隊の士官ランドルフと関係してしまうのだった。
革命軍に手を貸すアイルランド人民が、その手で自由奔放に生きるローズをリンチしてしまうという「怖さ」がこの作品の本質なんでしょうが、ローズをただの欲求不満オンナとしか見れなければ、ローズへの愛を貫くチャールズの純粋さだけが救いかも？
ちっとも綺麗じゃないくせに、上から目線のヤな女を演じたら光り輝くサラ・マイルズですが、そんなサラ・マイルズ演じるこのローズもまた心底嫌いになれました。そこまで嫌いにならせるサラ・マイルズ流石！
防衛庁の主力戦闘機導入を巡り暗躍する商社とそれらと癒着する政財界のダークサイドを描いた山崎豊子原作の社会派ドラマ。
かつての大本営参謀としての力を買われ近畿商事に嘱託として入社した元陸軍中佐、壱岐正（終始涙目の仲代達矢）が、能力があるゆえに、薄汚い拝金主義社会で摩耗していく姿を描いた作品で、戦争でも、実社会でも結局はいいように利用されていく壱岐は哀れ！ ただし、壱岐が関わったせいで、防衛庁に所属する戦友の川又（丹波哲郎）が追い込まれ自殺するという展開はちょっと無理ありかな？ なにしろ丹波哲郎！自殺するはず無し！
武芸の達人、三沢伊兵衛（寺尾聡）は、その心優しさがアダとなったのか職につけず、妻たよ（宮崎美子）と共に流浪の身。そんな伊兵衛がひょんなことから城主の目にとまり藩の剣術指南役に招かれるのだが・・・。
文部省推薦の時代劇があるとしたらコレ。そんな皮肉のひとくさりもはばかられるぐらい優しさに満ちた一編です。90分に収めたため感動の押し売りもそこそこでさっぱり味！ですが、黒澤明の遺稿を黒澤スタッフが映画化との触れ込みに期待大の方々は、アクの無さに気抜けした模様。確かに内容は薄いけど、ゴリゴリ暑苦しいリアリズムよりはずっと良いと思うけどね。
スナックを経営する坂井ハツ子（松坂慶子）が死体で発見される。未成年者でハツ子の妹（大竹しのぶ）とつき合っている上田宏（永島敏行）が逮捕され、裁判となるのだが・・・。
姉妹で一人の男を愛してしまったことから起きた殺人事件を通して、女性の奥底に潜む残酷さを描いた作品ですが、弁護士（丹波哲郎）と検事（芦田伸介）のせめぎ合いをじっくりタッチで描いた裁判シーンは見せるものあり！証言者の曖昧さが次々に暴かれていき、隠されていた真実が見えてくるという展開は痛快ですが、所詮は映画の世界だけなのが悲しい。
あっけらかんとした中に女の図太さ、怖さを見せた大竹しのぶと、ハツ子につきまとうヤクザ者を演じた渡瀬恒彦が評価されたようです。
フリーターでバンドマンの種田と暮らすOL2年目の芽衣子（宮崎あおい）は、仕事に嫌気がさしてやめたばかり。そんな芽衣子のことも思い、バンド活動をやめようと決意する種田だったが、芽衣子の励ましもあり、デモ作りのレコーディングに集中することにしたのだが・・・。
種田の突然死によって残された曲「ソラニン」を歌い継ぐために芽衣子がギターを手にするという甘っちょろい青春ものですが、サクセスストーリーじゃあなかったのは救い。夢を追うのか、社会との適合を選ぶのかという語りつくされたテーマには呆れつつも、バンド活動が大好きなのに、なかなか仲間とうまくやっていけなかった私には遠い憧れだった「バンド仲間の友情」には、思わず高得点をあげてしまいました。アマちゃんだな、オレ！
タンクローリーの運転手、ゴロー（山崎努）とガン（渡辺謙）が、フラリと立ち寄ったのはさびれたラーメン屋大来軒。 店を切り盛りしているタンポポ（宮本信子）に頼まれるまま、この店に行列ができるまで力を貸すことになったゴローと仲間達の奮闘を描いたコメディ。
ラーメンに関するシナチク（ウンチクとも言う）や店の改装とかを面白楽しく描いている部分は「ラーメンウエスタン」と呼ばれて大ヒットしたのも納得のデキ！ 問題なのは随所に挿入される役所広司なのだ！ 監督、伊丹十三の思い入れワールドなんだろうけど、とってつけたエロティシズムなどは邪魔なだけで、単に監督のエゴとしか思えず！ まったく共感できませんでした。
20年以上もコンビを組んできたニューヨーク市警のベテラン刑事、ターク（ロバート・デニーロ）とルースター（アル・パチーノ）は、連続殺人事件を捜査中！残された証拠の数々からタークが疑われることになるのだが・・・。
証拠がなく無罪となった悪党をワナにはめ刑務所送りにしたことをきっかけに、法を超えた正義を成そうとする刑事の姿を描いたサスペンス！といえば、もっともらしいけど、なにしろデニーロにパチーノがヨボヨボ！どうみても60才は過ぎているのに現役で、それもヒラの刑事って設定は無理！書いたらまずいかも知れないけどストーリー的にもデニーロの「ハイド アンド シーク」の裏返しそのもので、特に新鮮味無し！
上司にブライアン・デネヒー、対抗する同僚刑事に傑作ドラマ「キル・ポイント」で激突したジョン・レグイザモとドニー・ウォールバーグ、それに「裏切りのKISS」のカーラ・グギーノと脇は賑やかなので、なおさら主演二人に不満が残りました。
新婚七日目に社用で金沢に行った夫、憲一が行方不明に。妻の禎子（久我美子）は、憲一の同僚と共に金沢へ向かい足取りを追うのだが、調査を進めるうちに憲一の過去を何一つ知らなかったことに気づかされるのだった。
禎子を裏切り、二重の生活を送っていた憲一と暮らす久子（有馬稲子）、そんな憲一と久子を古くから知る佐知子（高千穂ひづる）の暗い過去が暴かれていくという松本清張サスペンスです。禎子が憲一と女たちの関係を捜査するという展開には無理ありですが、その辺をうまい具合に端折って、過去に翻弄される者たちの悲しみに迫ってます。個人的には、高千穂ひづるさんの美しさが印象的な作品でカラーじゃないのが残念！
実業家アイケルバーガー（エド・ペグリー）をボスとするギャング団を摘発する組織のリーダーとなったジョン（エドモンド・オブライエン）は、女友達アマンダを秘書に、幼馴染の新聞記者ジェリー（ウィリアム・ホールデン）の協力を得て捜査を開始するのだが・・・。
ヒラの警官でありながら捜査班に抜擢されたジョンの父マットが、アイケルバーガーとつながっていたことから、悲劇が訪れるというサスペンス。ギャング組織と対決するジョンとジェリーの正義感は、いかにもアメリカ万歳的ですが、それが偽善的に映らないほどギャング達が非情！なので引き込むものあり！ ジョンの愛するアマンダがジェリーに惹かれていくという関係も甘っちょろさを排して描いて好感！
ニューヨーク市警のはみ出し刑事エディ（ロバート・デュヴォル）は追跡中の容疑者を事故死させてしまい停職中！そんな時、相棒だったジジが死体で発見され、周囲の反対を押し切り独自に事件を調べ始めるのだった。
あまりハードアクションのイメージのないデュヴォルが、殴り合いやバスを使ったカーアクションに挑んでますが、キレはいまいち。悪徳刑事だったジジが絡んでいた組織のウラがあっさり暴かれていく展開も物足りなく、当時はかなりガッカリした記憶があります。なにしろデュヴォルには過剰な期待を抱いていたんで。
恋人モリーン（ベルナ・ブルーム）との静かな生活より悪との対決を選ぶエディだったが、そんなモリーンまでも失って・・・。
蒲田駅操車場で身元不明の他殺体が発見される。被害者と犯人と思われるものが立ち寄ったバーで、二人が東北弁で「カメダ」と話していたことを聞き込み、それだけを手掛かりにベテラン今西（丹波哲郎）と若い吉村（森田健作）が捜査を開始するのだが・・・。
このところまとめ見している松本清張ものの中でも名作とされる一編のようですが、序盤、中盤の二人の刑事の喰らいつき方が良いですね。特に「カメダ」を探って秋田まで行って、まったく無駄骨に終わるあたりのご都合主義じゃない展開は好きです。ただし、いよいよ犯人像に迫りだしてからは、差別への憤りや、人間の運命、欲望、情念など、清張モノらしい社会派としての顔がやたら大げさに映し出されて、正直、息苦しくなりました。そこらが高評価の因なんでしょうが、啓蒙ともいえるくらいに押しつけがましい演出も好きになれません。野村芳太郎監督作品。
会社に代わってリストラを宣告するプロのライアン（ジョージ・クルーニー）は、煩わしい事には関わらず気ままな一人暮らしで、夢はマイレージ1000万マイルを達成すること！ そんなライアンが、同じ主張族のアレックス、リストラをパソコンで片づける案を打ちだした新入社員のナタリー、という二人の女性との出会いによって人との「つながり」について考えだすというヒューマンドラマ。
いくらでもクサい展開にできるテーマでしたが、さっぱりと描いて後味の良さが残りました。ちょっとばかり人恋しくなったライアンが、主張先で関係を持ったアレックスを自宅まで訪ねて行くというウエットさは、ジョージ・クルーニーらしくなくて意表を突かれましたね。そんなクルーニー、悪くないです。
ナイフのセールスマン、ギル（ロバート・デ・ニーロ）は、仕事を抜け出してまで球場へ通う野球ファンだったが、営業成績が伸び悩んでる上、営業先での粗暴な行動からクビになってしまう。そんなギルが莫大な金額で地元に移籍してきたボビー・レイバーン（ウェズリー・スナイプス）を応援するあまり、ボビーに背番号を譲ろうとしないスター選手ホアン・プリモ（ベネチオ・デル・トロ）にナイフを突き刺してしまうのだった。
デ・ニーロがこれでもかと迫るサイコものですが、せっかくの怖さもギルがボビーの子供を誘拐するあたりからはリアリティを失ってます。 これ以上は書けませんが、ラストは呆れて苦笑い！ スポーツジャーナリスト役でエレン・バーキン、ボビーのマネージャーにジョン・レグイザモという濃い脇役陣もすっかり霞むデ・ニーロのワンマンショーがウザイ一編。
保釈金立替え業者に雇われているトム（クリント・イーストウッド）は、保釈中に行方をくらましたルー・アン（バーナデット・ピータース）を追うのだが、ルー・アンが乗ったピンクのキャデラックには、前科者の夫ロイが所属する白人至上主義組織の金が隠されていたため組織の追手が・・・。
アクションスターが挑むコメディものはほとんどが見るべきものなし！なんですが、コレもダメでしたね。笑いのツボの違いはあるにしても、まったく笑えません。笑えなくても、アクションだけはハードとか、沁みるものありとかなら良いんですけど、非情なはずの組織もヌルいし、カーアクションも普通、ましてや、イーストウッドとピータースのロマンスじゃあ、誰もが目を伏せますって。 そんなことより、途中で捕まえた逃亡犯の処置は？ 捕まえて連れ帰るのが、あんたの仕事でしょうが、トム！
偽造のプロでジョフリー・ルイス、裁判官役で「アルカトラズからの脱出」で共演のポール・ベンジャミンと、イーストウッドの義侠心だけは感じられますけど・・・。
子連れ（娘のルーシー）の元コーラスダンサー、ポーラ（マーシャ・メイソン）は、突然、同棲中の俳優トニーに出ていかれてしまう。 それも、アパートの権利を友人の俳優エリオット（リチャード・ドレイファス）へ譲り渡して。かくして、三人の奇妙な共同生活が始まるのだった。
いつもサヨナラされてばかりのポーラは、エリオットの優しさが怖かった！ そんな甘っちょろいラブコメですけど、こましゃくれガキのルーシーもまた別れがくるのを恐れているという「上乗せ」には、分かっていても点数上げてしまいますね。 デビッド・ゲイツのテーマ曲も大好きでした。