ダム建設の技師をするトム（ピーター・ウェラー）は、再婚したエイミー（ブリジット・モイナハン）と前妻との子供たちの仲がうまくいってないのを心配し、職場であるアフリカに招待することに。エイミーと二人の子供は、案内人に連れられて車でサバンナへと向かうのだが、トイレ休憩時にライオンに襲われ、案内人が餌食になってしまうのだった。
車に閉じ込められた三人の恐怖を描いた動物パニックものですが、CG使用を避けて本物のライオンを使ったことが生々しい迫力を生んでいてけっこう楽しめるデキ。「クジョー」のライオン版といった感じですので「クジョー」を許せた人なら大丈夫でしょう。ストーリー盛り上げのためとはいえ、あの状況でやたら慌てふためいて運転し、車をダメにしたエイミーは絶対許せないな！
アサド（ジャン・ポール・ベルモント）をリーダーにした四人組が、地中海にある街はずれの豪邸から三億フランのエメラルドを盗み出すことに成功！ しかし、逃亡用の船の出港が遅れることになり身を隠しているうちに、上前をはねようと彼らの行動を追い続けていた悪徳刑事ザガリア（オマー・シャリフ）が動き出すのだった。
オマー・シャリフの持つ重厚さとベルモンドならではの軽快さの対称鮮やかな一編です。ザガリア刑事が非情にもアサドの仲間を撃ち殺す展開でありながら、スタント無しでアクションに挑むベルモンドはあくまでも軽くて重苦しさ皆無！なので、真面目に向かい合ったり、リアリティを求めたりはなりません。分かっているとは思いますけど、いちおう。
ザガリアが放つスパイ役で出演のダイアン・キャノンがキュート！
かつては世界11位まで上り詰めたイギリス人テニスプレイヤー、ピーター（ポール・ベタニー）は、今では世界119位がやっとこさで、引退しテニススクールのコーチをと考える毎日。ところが、ひょんなことから女子界の優勝候補の一人のアメリカ人プレイヤー、リジー（クリステン・ダンスト）と出会い、恋に落ちたことからパワーが復活！ ウィンブルドンの決勝まで突き進むことになるのだが・・・。
他愛もないラブコメですが、その分気楽に見れて楽しめました。ウィンブルドンで奇跡の連勝を続けるのが自国イギリス人ということで、ピーターの周りは大騒ぎなんですが、一度はテニスを選んでアメリカに帰ったはずのリジーは戻ってくるし、バラバラだった家族が心を一つにして応援するし、と良いことだらけ！ 全てが「映画の世界」だけの夢物語ですが、感動の安売りが無かったせいか許してしまいましたね。監督（リチャード・クレイン）がイギリス出身というのがプラスになっているんでしょうか？ベタな展開でもベタベタ感がないのが良かったです。
主演の二人が人気的には弱いんでしょう、無視されてるのが残念！ なお、この監督が撮った「ファイヤーウォール」では、ポール・ベタニーは悪役やってました。
1944年、日米が激戦をくり広げるサイパン島。文字を持たないネィティブアメリカンの言葉をそのまま暗号にしようとナバホ族の二人（ヤージーとホワイトホース）が通信兵として戦場へ。彼らの護衛のために選ばれたのが、激戦の勇士であるエンダース軍曹（ニコラス・ケイジ）とアンダーソン軍曹（クリスチャン・スレーター）だったが、二人の軍曹はナバホの二人が捕虜になるのを防ぐために、最悪の場合は彼らの命を絶つことを命じられていた。
なにしろ手足が飛び散るエグいシーンが多くてまいりました。壮絶な戦いの中に、誇り高く勇敢でユーモアも解するヤージーと、かつて戦場で命令を死守するために部下を全滅させてしまったことがトラウマになっているエンダースの友情を描いた作品なんですが、ジョン・ウーの持つエンターテイメント性が勝ち過ぎていて、心に残るほどのものは無かったですね。あれだけパカパカと簡単に人が死んでいくのに、ホワイトホースやエンダースの死（ネタばれ御免！）には、やたらもったいつけるあたりも良い気持ちはしませんでした。
ジョン・ウー版「戦争のはらわた」との声もあるようですが、サム・ペキンパーには遠く及ばず！
パリの宝石商と精神科医を手玉にとって高価な真珠の首飾りを盗みとったマデラン（マレーネ・デートリッヒ）は、偶然出会った休暇中の自動車技師トム（ゲーリー・クーパー）のポケットにブツを隠し入れて、スペイン国境越えに成功するのだが・・・。
首飾りを取り戻そうとすったもんだするうちに二人が恋に落ちるというラブコメですが、マデランの仲間達が現れて危うい事になるという展開なので、甘っちょろいだけでは終わってません。押し出し満点で軽さの微塵もないこの二人のロマンティックはキビシーものありと思いきや、案外クーパーが軽妙さを見せて楽しませてくれます。当時は多くの映画ファンに夢を与えた作品だと思いますね、きっと。TV放映タイトル「真珠の首飾り」。
荒っぽいやり方が問題になり、風紀課にまわされた敏腕刑事マルソー（リノ・ヴァンチェラ）と相棒となった女性刑事デュマ（マルレーヌ・ジョベール）に、ギャングが口封じを狙っている重要参考人マルタンを探し出す任務が命じられた。
5年間も見つけられなかったマルタンを7日間で見つけ出さなければならない二人の地道だけれど、抜け目ない捜査を描いて見せるものあり！ですが、娘の処方箋から、ようやくマルタンを見つけてからの展開は虚しさだけが・・・。ジョゼ・ジョヴァンニ監督らしい手厳しさありの作品ですが、これ以上は書けません。マルソーとデュマが良き相棒と思えたのも束の間の夢でした。
二人を尾行し、マルタンを消そうとするギャング役でミシェル・コンスタンタン。
自分が勤める会社の社長の妻フロランス（ジャンヌ・モロー）と愛しあうジュリアン（モーリス・ロネ）が、社長を自殺と見せかけて殺害後にエレベーターに閉じ込められてしまう。そして、その夜、エレベーターで過ごすハメになったジュリアンの車を盗んだ若いカップルが、殺人事件を起こすのだった。
ルイ・マルを一躍有名にしたミステリーですが、あれだけ冷静に完全犯罪を成し遂げたはずのジュリアンが、現場に証拠となるロープを置き忘れるなんてことがあるのだろうか？「事の始まり」だけにミステリーとしてはヌルい気がします。が、そこらにこだわるべき作品ではないのでしょうね。 夫殺しの罪で全てを失うことになってもなお、ジュリアンへの愛を貫こうとするフロランスに純粋な愛の持つ「凄み」を感じました。ジュリアンを探して夜の街を彷徨うフロレンスを通して、一見、華やかなパリの夜の裏側（殺伐とした現実）が映し出されてます。
マイルスがスコアを担当したことで格調の高さ倍増！ 刑事役でリノ・ヴァンチェラ出演！
メキシコ国境を舞台に国境警備隊と密入国を斡旋する組織との戦いを描いたアクション作。密入国者を運ぶトラックを捜査中の警備隊員と、トラックで運ばれてきたと思われるメキシコ人少年の射殺死体が発見される。警備隊長ジェブ（チャールズ・ブロンソン）は、現場に残された足跡（ブーツの傷跡）から犯人は軍隊上がりと読み、追跡を始めるのだが・・・。
情け容赦なくショットガンを発射する元海兵隊員ホッジス（エド・ハリス）とジェブの対決をクライマックスとしていますが、アクション自体は地味。むしろ、金儲けのためにメキシコ移民達を食いものにする白人達の薄汚さを描いた社会派アクションとして評価したい作品です。死んだ子供の母親を利用するだけではなかったブロンソンが渋くていいなあ！
TV放映タイトルは「マッド・ギャリソン」。
囮捜査で相棒を失った財務省の捜査官ジミー（ウェズリー・スナイプス）は、責任を取らされ左遷が決まったのだが、「犯人を見た」と嘘をつき捜査を続けることに。そんなジミーが目をつけたのは、ム所を出たばかりの詐欺師レッド（デニス・ホッパー）とその仲間のロニー（ヴィゴ・モーテンセン）だった。
スナイプスはまだタイトさを残しているし、ホッパーは犯罪者ならではの孤独を漂わせているし、ヴィゴ・モーは持ち味である無機質で冷酷な殺し屋を演じているし、レッドのダンス相手を務める高級娼婦役のロリータ・ダビドヴィッチは気風の良さ発揮だし、トニー・ロー・ビアンコはパターン通りのマフィアのボス役だし、そして、レッドの愛する奥さんにヴァレリー・ペリン起用だし！と決して素通りできない面子が揃って犯罪社会に生きる者たちの悲哀を描いてます。なので、愛すべき小品としてここにのっけます。もう一歩踏み込んで、悪徳弁護士役でジョナサン・バンクス、ジミーと共に犯人を追う捜査官にはダン・ヘダヤだよー！ こんだけ集めた監督は「ザ・コップ」のジェイムズ・B・ハリスだよ、その昔はキューブリックと組んでたよー！
スナイプスもホッパーもヴィゴ・モーも、揃いも揃って昔の女に未練たらたらなのだった。
「ミザリー」シリーズの人気作家ポール・シェルダン（ジェイムズ・カーン）が、雪道で運転を誤り転落！瀕死の状態のところを、「ミザリー」の熱狂的な読者で元看護婦のアニー（キャシー・ベイツ）に助けられ手厚い看護を受けるのだが、誰よりも先に新作「ミザリーの娘」に目を通し、その結末を知ったアニーは態度を豹変させるのだった。
カーンの作家役って、大丈夫かあ？！そんな心配を吹き飛ばしてくれたのが、キャシー・ベイツです。怖いです！ ただ怖いだけじゃなくてプロレスラー並みにパワフル！ なにしろ、治りかけの骨を砕いちゃうんだから。なので、対抗すべくカーンに求められたのは、作家的知性よりガッツのみ！ アニーの過去を知ってからはポール、そして見ているこっちにも戦慄が走り、密室ものでも退屈すること無しでした。
保安官役でリチャード・ファンズワース爺。
伝説の宝石泥棒リプリー（モーガン・フリーマン）は、死んだ相棒の残した借金を支払うためにロシアンマフィア、ニッキーの仕事を引き受けることに。ハイテク警備をかいくぐるために必要な相棒として、マーティン（アントニオ・バンデラス）をスカウトし、狙いのロマノフの秘宝（卵）を手にした、その時・・・。
ネタばれになるのでこれ以上ストーリーには触れられませんが、騙し騙されの展開を明るく楽しく描いた泥棒アクションものです。マーティンとリプリーの相棒の娘アレクサンドラとのラブシーンが邪魔なんですが、バンデラス使用では仕方ないですかね？ まんざら、ストーリーに無関係でもないし。
リプリーをハメたつもりの警部役でロバート・フォスター。
真面目な社会学者スタニスラフは、女性の犯罪心理についての論文を書くために、愛人殺しの罪で投獄中のカミーユ（ベルナデット・ラフォン）にインタビューしているうちに、彼女の魅力にまいってしまい、彼女の無実までも証明するのだが・・・。
自由奔放と言えば聞こえはいいけど、単なる尻軽のアバズレ女に男共はみなコケにされてしまうというトリフォー監督作のコメディです。女性の底抜けなパワーにひれ伏したのか？ トリフォー！ 間抜けな男共を笑い飛ばしたいのか？ トリフォー！ おバカな男達がいいように利用され、捨てられ、殺されていく姿には哀れささえ漂ってますが、そこを楽しめるのはどんな人でしょうか？ マッチョ野郎がケチョンケチョンにされるのは歓迎なんですがねー、皆が皆ではねー。そこらも含めて、コメディとしてはまったく笑えなかったので好きな作品とは言えませんねー。
ある社会学者の新著を求める客に、店主が発行されなかったことを告げる場面から導入されていく展開は良いです。
イラク戦争時のバグダット。大量破壊兵器を発見すべく極秘任務についたアメリカ軍兵士ミラー（マット・デイモン）は、情報をもとにあちこち調べ回るのだが、発見するどころか、どの現場にもその痕跡すらなかった。情報の出所を疑りだしたミラーが、アメリカの大義名分であった大量破壊兵器の有無に迫るのだが・・・。
期待のポール・グリーングラス監督作品ですが、いちおう緊張感ある社会派アクションにまとめあげてます。なにより、甘っちょろいラブが絡まないだけでもオーケー！ただし、不満な点も多く、オチが見えていたのも残念だし、「ボーン・アルティメイタム」でも感じた、高速カット割りの手ブレ映像は、正直、見づらいし疲れます。臨場感を求めてのものでしょうが、もう少し俯瞰をおりまぜてくれないと。肝心のテーマに驚きを感じなかったのもマイナスでした。
暇を持て余す高校生三人組（玉木宏、森山未来、佐藤隆太）が、ひょんなことから一丁の銃を手にすることに。リッチなガンマニア少年に試し撃ちさせたら金になったので、さっそく追加の弾を手に入れようと歌舞伎町に出向いた三人の一夜の出来事を描いた青春もの。
松田龍平主演の「青い春」と同じ松本大洋の短編ものの映画化とのことですが、軽いタッチのユーモラス展開なので、「青い春」に感じたヒリヒリ感は無し！ ユーモラスと書いてしまいましたが、その割には笑えなかったし、とくにピンとくるシーンも無かったので、正直、辛かった作品です。
かつては夏になると鯨が現れたメイン州の小島にある別荘で過ごす老姉妹、リビー（ベティ・デイビス）とサラ（リリアン・ギッシュ）と友人たちの姿を描いた黄昏の一編。ロシア貴族だったロマノフを招待することを楽しみしていたサラだったが、リビーはことのほかロマノフに冷たい態度をとるのだった。
目が不自由になり、サラに頼りっぱなしのリビーは、心の底では一人ぼっちになることを恐れながらも、ひがみっぽい事ばかり並びたててしまう。そんなリビーを心からの愛で包み込むサラの無償の愛をサラリと描いて流石のリンゼイ・アンダーソン監督作品です。ヨボヨボの年寄りばかりしか出ない辛気臭い作品だと思いながらも、いつしか、殺伐たる我が心ですら、しみじみした情感に包まれていました。
岸和田を舞台に喧嘩に明け暮れる若者の青春を描いた「岸和田少年愚連隊」の続編的作品。破天荒に生きるリイチ（千原兄弟のジュニア）とユウジ（千原兄弟の困った兄）は、仲間と共に高校を卒業。リイチの恋人リョーコ（鈴木紗理奈）は、美容師を目指し働き始めるが、リイチは相変らずフラフラした毎日。そんな時、リイチに新しい恋人が出来、それをきっかけに、みんながバラバラになってしまうのだった。
リョーコを失ったことの重大さに気づいたリイチの思いを描いて、いっぱしの青春ものに仕上げています。深みは無いけど、仲間の一人に悲劇が訪れる予感がジワリジワリの展開も悪くなく、イージー企画の続編ものとしては良く頑張った作品でしょう。「十三人の刺客」で騒がれている三池崇史監督作品です。
1944年、ナチス占領下のフランス。ユダヤ人であることをひた隠し、偽名で寄宿学校に転入してきたジャンは、周囲と打ち解けることもなかったが、ある日の森での宝探しをきっかけに好奇心旺盛なジュリアンと仲よしになり、ようやく学校生活も楽しくなると思えた矢先に・・・。
ナチズムを絶対悪とする作品は、白黒はっきりし過ぎているせいか「悲しみ」の押し売りに終わることが多いので、出来る限り避けて通ってますが、さすがにルイ・マル！ 無邪気にふざけ合う子供たちのココロに不気味な暗黒が忍びよる様を描いて残るものあり！ ルイ・マル自伝的作品とのことです。
ある雨の日、南仏の季節外れの小さな避暑地が舞台。バスを降りた男に暴行されてしまった若妻メリー（マルレーヌ・ジョベール）は男を射殺してしまう。死体を海に投げ捨てた翌日、ドブス（チャールズ・ブロンソン）という男がやって来て、死んだ男の持っていたバックのことを訪ねるのだった。
二つのバッグに、二つの死体が謎を呼ぶムード満点のサスペンスですが、ブロンソンは渋さを通り過ぎてキザッちいのが災いしてか、全体にテンポが良くないのが難！ ルネ・クレマン作品ですから、そこらにイチャモンつけるようではイカンのでしょうが、ジョベールの方も不思議ムード漂わせているので、二人の絡みはまどろっこし過ぎですね！ フランシス・レイによるスコアも素晴らしいので見終わって損した感はないですけど。
病気の夫に代わり、美しく愛想の良いフローラ（ファニー・アルダン）が切り盛りするローマのリストランテ「アルトゥーロ」が舞台。とある冬の夕暮れ時にやって来たお客達それぞれの人間模様を、時にユーモラスに、時にしみじみと描いた群像もの。
常連で皆に一目置かれている教授（ビットリオ・ガスマン）を語り部のようにして、熱く演技論を戦わせる俳優、娘に修道女になることを告げられて戸惑う派手な母親（まだまだ美貌衰えずのステファニア・サンドレッリ）、恋多き女をとり囲む四人の男達、若い娘との関係に終止符を打つために大芝居を打つ哲学家（ジャンカルロ・ジャンニーニ）等の姿をサラリとしたタッチで描いてます。登場人物が多すぎるので深みに欠けるのは仕方がないところ、というか重苦しいよりはずっといいのですが、料理に対しての迫り方が淡白なのが残念！ 一番の印象はサンドレッリは老いてもなお綺麗だってことでした。
東北の寒村で起こった大量虐殺事件に関わってしまった自衛隊特殊部隊員、味沢（高倉健）は、隊を辞め、事件の唯一の生存者で、記憶を喪失していた長井頼子（薬師丸ひろ子）を養女として引き取ることで責任を取ろうとしていた。数年後、やはり事件に巻き込まれて命を失った越智美佐子（中野良子）の妹で新聞記者の朋子（中野良子が二役）と出会った味沢は、朋子が調べているダム建設の裏を共に探り始めるのだが、それをきっかけに、朋子、味沢、そして頼子の身に危険が迫りだすのだった。
ストーリーを紹介するのも難儀なほどに、いろんな要素が詰め込まれたアクション作なんですが、大風呂敷を広げ過ぎたせいで収まりつかず！あっちもこっちも中途半端で、脚本的な「穴」を並べたてる気力も失せました。がしかし、だからといって見る価値なしじゃあないんですよー！ 角川春樹が金に糸目をつけずハリウッドアクションと張り合ったその「豪華な間抜けっぷり」を楽しみましょう。
都会で働く父の元を離れ、祖父母の住むアイルランドで暮らすことになった少女フィオナが、今は無人島になってしまった生まれ故郷のローンイニッシュ島に渡って、幼い頃に、揺り籠に乗ったまま海に流され、行方不明になってしまった弟と再会するまでを描いた「あざらし伝説」にまつわるファンタジー。
「あざらしに育てられている弟ジェレミーを見た」と言うフィオナに、祖父は「お祖母さんはジェレミーを思い出し悲しむだけだからその話はしないように」と注意するのだが、フィオナのその話を聞いてしまった祖母が、「ジェレミーは絶対生きていると思っていた」と言い放ち、皆を引き連れて島に渡り、ジェレミーをあざらし達から受け取るというお話です。苦手なファンタジーなんですが、そのくだりだけでも十分に良い作品だと思えました。「言い伝え」ってのは、無意味に伝えられてるわけじゃないんですね。
老人ホームで暮らすトマ（ミシェル・ブーケ）は、自分は赤ちゃんの頃、病院で取り違えられた身で、実は裕福な隣の家の息子なんだと思い込んでいた。そのせいで、誕生日が同じだった隣家の息子アルフレッドを殺したいほど憎み続けていて、ある日、ホームを抜け出し、拳銃片手にアルフレッドに会いに行くのだった。
少年時代にアルフレッドから受けたイジメや、純粋な愛に身を捧げた姉アリスとの思い出、アリスとそっくりな女性との恋愛などを、巧みにフラッシュバックさせファンタジックに描いた作品ですが、肝心なことをぼかして、けっしてココロに突き刺さることのないファンタジーものを得意としないせいか、最後まで入り込めませんでしたね。きびしい言い方をすれば、テクニックはあるけど熱くさせるもの無し！
主題は、何事も他人と比較し、ひがんで生きるのは虚しいってことなのかな？
19世紀末の英国。舞台俳優のローレンス（ベネチオ・デル・トロ）の元へ、弟ペンの婚約者グェンがやって来て、ペンの行方不明を告げる。25年ぶりに父親ジョン（アンソニー・ホプキンス）の住むタルボット城へ戻ったローレンスを待っていたのは、タルボット家の呪われた歴史だった。
特殊メイクなしでもやってけそうなデル・トロ主演の「狼男」ものですが、ここぞとばかりのCG使用で派手な仕上がりも肝心の内容には新鮮味無し！父親ジョンとは違い、人間の心を捨てきれないでいるローレンスの「欲望」と「理性」のせめぎ合いを悲劇的に描いてますが、特に深みもなく、正直、今さら「狼男」って感じですね。
ワイン鑑定家で、なによりワインを愛するエイドリアン（ドナルド・プレザンス）は、腹違いで遊び人の弟リックが経営するワイン工場で働いていた。そんなある日、リックが金欲しさに工場を売りに出すと聞いたエイドリアンは、リックを殴り殺してしまうのだった。
ワインの事なら知り尽くしているエイドリアンと、にわかながらもワインの事を調べ上げたコロンボ（ピーター・フォーク）が対決するという話ですが、高度なウンチクを含んでいるせいか、かなり評判の良い一編のようです。ワインを通して、二人の間に尊敬にも似た感情が湧くという展開がその因でしょうが、たしかに、エイドリアンはいつも以上に気品ある犯人でしたね。
ただし、死亡時間の偽装なら低温にすべきだろうし、ワインのためを思えばそれはないだろうし、暑い日があったとしてもエアコンで温度調節してるはずだし、まさかと思うけどとエアコンなし？そこらへんの謎解き部分にピンとこないところがあったんだけどなあ？オレが読めてないだけなのかなあ？
なお、この点に関しては疑問者多数のようでして、「この映画のここがわからない」のページでもあーだこーだと意見が飛びかってますが、そこを訪ねてみてもピンときませんでしたよー、と長くなってしまったよー