「アクション馬鹿」モチゾーのこだわり推薦作品

怒りの山河 （1977）

結婚生活に破れ、故郷に戻ったトニー（フォンダ）を待っていたのは、乱開発によって土地を追われる家族だった。 弟チャーリー（グレン）の事故死に疑問を抱いたトニーは、たった一人で悪徳企業に立ち向かうのだが・・・。

やせっぽっちのフォンダが、意外なタフガイぶりを発揮するカントリーアクションの隠れ名作。 痛快な復讐劇と言うには、あまりに重く暗かったのは、企業側の仕打ちが冷酷だから。 ロジャー・コーマン制作にしては、かなり良質。 なにしろ監督は若き日のジョナサンさん。

Ifもしも・・・ （1968）

５００年の伝統を誇る全寮制パブリックスクールが舞台。学園内の反逆分子ミック（マクダウエル）、ジョニー、ウォレス等が「革命」を起こす様を、過激ファンタジーとして描いた問題作。

あの時代に、これを見たか見ないかが、この世のいっさいの「くだらないもの」に対する指針を決定づけたといっても過言ではないほどにパワフルでアナーキーな一編。

ここらも選んでおかないとホントの馬鹿だと思われるからね。

１１０番街交差点 （1972）

マフィアの金を強奪した男達（ベンジャミン、アントニオ・ファーガス）の悲しい末路、組織の跡目を継いだばかりの若頭（フランシオサ）の焦り、賄賂にまみれた刑事（クイン）と上司となった黒人警部（ヤフェット・コットー）の対立など、ディープなテーマを持ったブラックシネマ最高作！

ボビー・ウーマック、J・J・ジョンソンが担当したスコアも全く素晴らしく、ウーマックの歌うテーマ曲は、タランティーノが「ジャッキー・ブラウン」で再使用。

拳銃貸します （1942）

猫だけを愛する冷酷な殺し屋レイブン（ラッド）は、仕事の報酬にナンバーがバレている札を掴まされた復讐のため、歌う手品師エレン（レイク）は、政府からの依頼で国家反逆者の情報を得るため、同じ列車に乗り合わせるのだった。

二人の標的が同じ人物という展開は、今でこそ常套だが、この時代としては新鮮だったのでは？ さすが原作グレアム・グリーンといったところか。 ラッドにとっては、「シェーン」に次ぐと評価される作品のようだが、犯罪者の孤独を描いて見事！ それ以上に魅力的なのがヴェロニカ・レイクで、その美貌に反する気風の良さにはヤラれた！ ここらのセンスはすべて監督の力量によるものだろう。

サイレンサー破壊部隊 （1968）

５０億ドルの金塊強奪事件を追ってコペンハーゲンに派遣された諜報員マット・ヘルム（マーティン）の活躍を描いた、しゃれっ気たっぷりなアクションコメディ。

マット・ヘルムシリーズ４作目ですが、相変わらず美女をはべらせてイロオトコぶりを発揮するディーノの魅力満載！ 意外に派手なアクションがあったかと思うと、やたらとチープな秘密兵器使用と変幻自在！ 古き良きハリウッドの香り漂うポップな一編です。 とりあえず、今見直せるのはこの４作目だけだったので、これを紹介。

ハードコアの夜 （1979）

ミシガンで家具工場を営むジェイク（スコット）は、行方不明となった娘を探すためにカリフォルニアへ。 依頼した探偵（ボイル）の情報で、娘はポルノ映画に出演していたことを知るのだが・・・。

いかにも、ポール・シュレイダー作品らしく、大都会の裏側をリアルなタッチで描き出して迫力あり！ 映画プロデューサーのふりをしてオーディションを行い、共演の男優を探そうとするジェイクには父親の必死さあり。 協力してくれた娼婦を救おうとするジェイクだったが、彼女の答はノー！ そんなラストも印象深い。

コフィー （1973）

ヘロイン中毒で死んだ妹の復讐のために体を張る看護婦コフィー（パム・グリア）の容赦ない戦いを描いたブラックムービー。

随所に過激な模写もあり、グリアの生々しいヌードも披露されるエログロタッチのB級アクションですが、なにしろ、テンポ良く展開されるので退屈せず！ それでいて、復讐を成し遂げたコフィーの後ろ姿に漂っていたのは虚しさだけ！

スコアはロイ・エアーズ担当。

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー （1981）

中古車販売業を経営するフランク（ジェイムズ・カーン）の裏の顔は、誰にも支配されないことを信条とする大泥棒。 そんなフランクが、余命短い友人オクラ（ウィリー・ネルソン）を刑務所から出すため、一度だけの約束で組織の仕事を引き受けるのだが・・・。

組織に取り込まれることをよしとしないフランクが、ようやく手に入れた幸せの全てをなげうって、組織に立ち向かう姿は感動的なほどにハード！ 虚無感の中を突っ走るジェイムズ・カーン最高！ 音楽担当のタンジェリン・ドリームも煽ること煽ること！

動く標的 （1966）

友人の弁護士アルバートに頼まれ、行方不明となっている大富豪サンプソンの行方を追う、私立探偵ルー・ハーパーの活躍を描いたハードボイルドものの古典。 落ちぶれた女優（シェリー・ウィンタース）や麻薬中毒のピアニ ストや怪しげな宗教団体をたどり、動き回る標的を追うのだが、犯人は足元に。

オチを知るだけに、なかなか見直す気にならなかった作品ですが、ただスマートなだけではないハーパーを演じて、さすがのポール・ニューマン！　コーヒーがきれていて、前日使った出がらしをもう一度入れなおすシーンは出色！ しがなさはあるし、行く先々でボコボコにされるし、離婚調停中の妻（ジャネット・リー）に泣きつくし。

スーパーフライ （1972）

麻薬の売人として優雅に暮らしているプリースト（オニール）は、所詮は組織の一員として利用されているにすぎない現実から逃れるため、大きな取引を最後に引退を決意するのだが・・・。 当然ながら、組織や悪徳刑事たちが見逃すはずもなかった。

全編カーティス・メイフィールドの魂（ソウル）に彩られた、理屈を超えて楽しめるブラックシネマの傑作で、そのサントラはいわゆるフリーソウルのルーツとして今もなお愛されている。 内容的にも、白人、黒人かまわずヤリまくるプリーストをヒーローとしながら、犯罪社会の裏側を描きだして重みあり！ カメラマンであり、名作「黒いジャガー」を生んだ父親の影響か、写真を使ってジャンキーの姿を映し出す手法が印象的だが、ここでの主役もまたバックで流れるカーティスのタイトなギターワークなのだ！